人気ブログランキング | 話題のタグを見る

月光旅社 gekkosugi.exblog.jp

レトロでアジアでシネマな日々


by sugi

超濃口「ジョニー・トー特集」の長い午後

超濃口「ジョニー・トー特集」の長い午後_a0106409_1146199.jpg
月イチ恒例映画塾『日曜日には鼠を殺せ!』は、
今月は変則の20日(祝)開催でした。はや12回目。
そういえば昨年のアジアン映画祭で1回目のチラシを
見つけて(こわごわ?)行ってみたのが始まりでした。
毎回参加費¥1500の3倍くらいの価値ある
面白いトークを聞かせていただき感謝感謝です。
余談ですが、ミルクマンさんは今回アジアン映画祭で
22本見られたとか!やっぱ違うわ。
どうりで、会場で毎回お見かけしました。

さて今回はミルクマンさんもずっと「開催する」と
おっしゃってて、待ちに待っていた、
香港の映画監督、ジョニー・トーの特集。
東京からライターのくれい響さんをお迎えしての
満を持しての開催です。
くれいさんと言えば、香港映画関連の文章では
おなじみ(何人か名前があがる1人です)。
ここ数年のトー監督作品のパンフには
ずっと文章も書かれているそうです。
写真は先日公開されていた『奪命金』のパンフ。
そして『(ダイエット・ラブ)痩身男女』の日本ロケから
日本での助監督の様な事もされていて、
「日本で1番トー監督に近い人」だとか。
そんなくれいさんが、今回は映像も厳選して編集されて、
「ジョニー・トー監督の全て」な内容となりました。

ミルクマンさんともおつきあいが長いというくれいさん、
気さくな感じで、画像を見ながらの突っ込みも面白くて
ジョニー・トー監督への「愛」をビシバシ感じる内容に
見ている方もぐいぐいと引き込まれて行きました。
もともと監督はテレビの製作をされていたそう。
1本目の映画は監督も触れてほしくないぐらい
大コケしたそうで、その貴重な映像も見せてもらえました。
その大コケから6年くらいは映画を撮らず(撮れず?)、
1986年から映画監督のキャリアが本格的にはじまりました。

今回、監督リストをもらったのですが、
ジョニー・トー監督と意識せずに見ていた映画が
けっこうありました。
今となっては「香港ノアールと言えば」なイメージが
強いですが、それこそベタでユルいラブコメや、
チャウ・シンチーの作品もあったり、
すっかり忘れていた金城武主演の
『ターンレフト・ターンライト』(今回もそのとんでもない
ラストが紹介され爆笑)なんかも、そうだったんだと、
ジャンルも幅広く、たまに「なんじゃこりゃ?」な
出来の作品があったりするのも私の中のトー監督。

私がトー監督作品をハッキリ意識したのが99年の
『ザ・ミッション/非常の掟』。
やっぱりカッコ良くて久しぶりにまた見たくなりました。
監督の作品の元ネタになったハリウッド映画やフランス映画も
本編と合わせて見せてもらえました。
その他マニアックだったのが、トー監督作品で裏方から
俳優になり、今や香港映画の味のあるバイプレイヤーと
なったラム・シュー(林雪)の特集。
多分これが初めてのクレジット・・・という映像も。
トー監督作品に限らず、画面に出てくるだけで
「クスリ」と笑いを誘うキャラクターの持ち主ですね。

先日アジアン映画祭で来阪された時のインタビューでは
「中国の検閲を通過させる」には・・・という話を
されていました。
先日公開された『奪命金』もそうですが、
香港版とは違う中国公開版独自のエンディングがあるのは
周知の事実(『インファナル・アフェア』なんかも有名)。
今回その中国版のエンディングも見せてもらえましたが、
「悪者はとにかく捕まらないとダメ」な
味も素っ気も余韻もないそのしょうもなさに
映画ファンとしては憤慨ですが、でもそれでも
中国で公開する事には、収益ももちろんですが
公開することによって、ジワジワ規制を緩めていく効果も
あるのかなと思った次第です。

そんな感じで見所、聞き所満載のトークショー、
覚悟していたとは言え、気づけば、
予定時間軽く超過の夜8時前でした。
3時から約5時間座っていた事になります。
『奪命金』、そしてアジアン映画祭で新作『毒戦』が
公開された直後のタイムリーな特集で、
今回も胸いっぱいお腹いっぱい、ごちそうさまでした。
すでに最新作『盲探』という最新作も公開されるトー監督。
毎年新作を公開される多作ぶりもステキです。
まだ未見の過去作品、
評価は高いのに未公開の『スリ (文雀)』は
近いうちに見なきゃなと思いました。

by sugisugi26 | 2013-03-23 12:56 | その他映画 | Comments(0)