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レトロでアジアでシネマな日々


by sugi

『ダイ・ビューティフル』

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最近フィリピン映画があつい!との事で、話題作が続けて公開されています。
中でも気になっていたのがこの映画、『ダイ・ビューティフル』。
昨年の東京国際映画祭で主演男優賞と観客賞を受賞した作品です。
私の中で、観客賞受賞作品は期待してしまいます。

生前、自分が死んだら1週間日替わりで有名セレブに似せたメイクをして送り出して欲しいと
友人に頼んでいた、ミスコン女王のトランスジェンダー、トリシャの旅立ちの為に奔走する
友人達・家族の姿を描きながら、同時に差別や偏見の中でも短くも自分に正直に
強く美しく生きたトリシャの人生を綴る、
愛とユーモアと優しさ・強さを感じさせる人間ドラマです。
全く未知の世界だった、フィリピンの社会事情も垣間見る事ができ面白かったです。
トランスジェンダーというセクシャルマイノリティーな、一見特別な人物を描きながらも、
自分の人生を生きた一人の人間のドラマとして見応えがありましたし、
主人公トリシャはもちろん魅力的だし、
周りの登場人物もキャラ立ちしていて、とても楽しめました。
メイクを施す親友のバーブスもいいし、葬儀社のゲイの社長、面白すぎ。

この映画公開後に同性愛者としてカミングアウトした、
トリシャを演じたパオロ・バレステレスは、テレビ番組の司会で知られ、
自身もセレブメイクをインスタにUPし、話題を呼んでいるメイクアップアーティストで
映画でのセレブメイクも彼自身によるものだそう。

同じ東南アジアのタイでは、こういう世界の認識はオープンで社会的にも認知されているので
フィリピンも同じ様な感じなのかと思っていましたが、カトリックの強い影響下にあるので
同性愛や性転換は罪になるそうなのです。目からウロコでした。
まだ正しい社会的認識度は低く、トリシャに対する、お父さんの厳しい態度も、
多数の人の考え方なんでしょうね。
でも自分が辛い目にあって、厳しい境遇で生きながらも、孤児を引き取って育てたり
人に優しいトリシャにぐっときました。
登場人物達の派手なビジュアルの裏にある、素の人間としての魅力に注目です。

この監督もゲイで仕事上のパートナーでありプロデューサーとNYで結婚式をあげ
孤児を引き取り、二人で育てているそうです。
そんな二人が生み出した作品だからこそ、より説得力があるのでしょうね。




by sugisugi26 | 2017-08-20 19:58 | アジア映画 | Comments(0)