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レトロでアジアでシネマな日々


by sugi
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カテゴリ:台湾映画( 4 )

『台北ストーリー』

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エドワード・ヤン監督の1985年の長編第二作『台北ストーリー』を
見に行ってきました。日本で一般公開されるのは初とのこと。
「4Kデジタル修復版」とのこと。キレイに修復されたフィルムでの上映です。
最近エドワード・ヤン監督の旧作『牯嶺街(クーリンチェ)殺人事件』や
『恐怖分子』が公開される流れでの上映でしょうか。

85年と言えばまだ私の中には「台湾」という存在さえなかった時代。
当時の台北を舞台にした、ラブストーリーと言うか、人間ドラマ。
その時代の台北がどんな街だったのか見てみたかったと言うのがありました。

台湾映画界は台湾ニューウェーブと言う新しい映画人が新しい流れを作り出した
時代だったようで、その中心にいた、エドワード・ヤン監督が
ホウ・シャオシェン監督を俳優として主役に描いた作品が今作。
時代の転換期を迎えていた台北の街で、
夢や希望は持ちながらもその波に乗り切れなくてあらがう人々、
アメリカや日本に憧れ出て行く人々、台北で新しいチャンスをつかもうとする人々、
それぞれの焦りと焦燥感が、息苦しくも感じられましたが
古い問屋街、観光地となっていて私も行った事のある「迪化街」の様子が古い台北を
象徴し、いい味を出していて良かったです。

今でもレトロな建物が多く残っていて好きな場所ですが、
その建物の中の様子や生活がヒロインの実家として見る事ができ、
すごく素敵でした。今はそこがリノベーションされ、レトロなカフェや
ショップとして賑わっている事を思うと、時の流れの面白さを感じます。
しかしホウ・シャオシェン監督若い!おぼこい!!
朴訥とした味のある演技でした。



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by sugisugi26 | 2017-06-03 15:21 | 台湾映画 | Comments(0)

OAFF『52Hz,I LOVE YOU』

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今年の「大阪アジアン映画祭」も12日で終了しました。
あっという間に過ぎた開催期間。
今年のグランプリは香港の『一念無明』。気になりましたが
重そうで今回は見るのを断念した作品。良かったんですね。
こちらも見たかったけど、気づけば完売になっていた香港・中国の『七月と安生』は
ABC賞だったので、また来年朝日放送で放映されると思うので良かったです。

で、私が最終に見たのは『海角七号』や『セデック・バレ』の
ウェイ・ダーション監督の新作『52Hz,I LOVE YOU』。
愛を歌うハッピーなミュージカル映画で
楽しさ満載、歌も良かったのですが
少しストーリーが弱いと思ってしまった部分が残念でした。

バレンタインの日の、いろんなカップルの愛のカタチや
エピソードを描き、歌で彩っているのですが
あんまり「バレンタインだから・・・愛!愛!」と単純に
盛り上がるのに違和感が・・・。
チョコ祭りと化している日本のバレンタインとの温度差か
はたまた私がすれてしまっているのか。
あと一歩物足りない気がしました。
同性愛カップルは可愛くて好きでしたが。

主要キャストについては、
見た目は地味だけど、歌はうまいな〜と思っていたら
「トーテム」や「宇宙人」、「棉花糖」といった
台湾若手人気バンドのボーカルだそうで、納得。
名前は聞いたことあるという程度だったので
初めて意識してYouTubeで音楽も聴いてみました。
旧正月映画として公開された様なので
そういう意味では、ぴったりな作品だったかもですね。

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by sugisugi26 | 2017-03-18 23:59 | 台湾映画 | Comments(0)
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台湾でもヒットしたと言うドキュメンタリー映画『湾生回家』を見に行ってきました。
今年の『大阪アジアン映画祭』のオープニングで上映されて話題になっていた作品です。
しかし、先週公開されたと思ったら、もう会社帰りには行けない時間の上映しかない状況。
土曜日の夕方は、7・8割くらいの結構な入りでした。

『湾生』とは・・・戦前の台湾で生まれ育った約20万人の日本人を指す言葉だそう。
1895年〜1945年の50年間、台湾は日本の統治下にあり、
使命を帯びて、もしくは新天地での生活を夢見てなど、多くの人が台湾に渡り、
終戦後、中華民国政府の方針でほとんどの人が日本本土に強制送還されたそうです。

見知らぬ祖国日本に戻り、苦労して日本に根を張ったものの、
現在高齢になった『湾生』達は、やはり自分の故郷は台湾だという思いを強くし、
台湾人と一緒に生活していた時代を懐かしんで、当時の記憶を探しながら
何度も行き来し、確かに自分と家族は台湾の地で生きていたという
証を追い求める姿や、それを支え共感する家族達の姿を追いかけます。

台湾の日本統治時代の話は、
最近も『セデック・バレ』や『KANO』などの台湾映画を通じて
その光と闇の部分も少しずつ知った気になっていましたが
『湾生』と呼ばれる人々の存在というのは今回初めて知りました。

この映画では、色々な事情の『湾生』の方が取り上げられていますが、
台湾で、日本人のお母さんから台湾人にもらわれて育ち、
台湾人と結婚してから初めて自分は日本人であることを知り、
生みの母から捨てられたのではないかと苦悩し、
今は病院で介護される日々を送っている高齢の女性とその家族が印象的でした。
その夫と娘や孫が、必死になってその女性の日本人の母の消息を求める姿、
そしてそのお墓や、生前の姿を知る人が見つかるシーンは胸にきました。

日本統治時代、今の台湾人はいい印象を持っている人が多いようですが
それでもやはり植民地として、その国の人の気持ちを踏みにじる様な事もたくさん
あったの事実だと思います。
でもこの映画の『湾生』の方々がその頃の台湾を懐かしむ気持ちは、
政治的なもの、国籍を超えて、もっと普遍的な人間同士の信頼や愛情や絆が
あってこそなんだと感じました。だからこそ、過去の不幸な出来事は繰り返しては
ならないんだと強く思いました。
当事者からの生の言葉は重みがありました。

旅行先としての台湾人気は依然として続いていますが、
こういう過去の話ももっと知るべきだと思いました。


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by sugisugi26 | 2016-12-04 19:55 | 台湾映画 | Comments(0)
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友人から随分前にDVDを借りながらもなかなか見るタイミングがなかった
台湾の候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の名作『悲情城市』をやっと見ました。
89年の作品ですが、そう、「今ごろ」なんです。
トニー・レオン好きでもありながら今まで見れなかったのは、
重そうだというのもあるし、候孝賢(ホウ・シャオシャン)監督作の過去に見た1本が
いまひとつだった事もあったかもだったのですが、そんな事はさておき
すごく良かったです。ずっしり胸にきました。
終戦で日本の統治から中国の統治に変わった混乱の時代、
台湾北部の港町、基隆(キールン)や九份(キュウフン)を舞台に
そこで生きるある家族をめぐる物語です。
いい時代が来ると期待した人々の希望と現実・・・。
色んな国に翻弄されてきた台湾の歴史も知ることができます。

舞台になった基隆と九份は数年前の台湾旅行で行ったので
あの景色、特にタイトルからすぐの九份から眺めた基隆湾の眺めには
「うわっ〜!!」と声をあげそうになりました。そう、バスを降りて九份ではじめて見た景色。
九份はこの映画のヒットで台湾随一の観光地になりましたが、
元々は日本統治時代に金鉱で栄えた街です。
時代が時代なので辛いエピソードもありますが、厚みのある人間ドラマ、
時代の空気感、素晴らしい景色、すべてが一体となって完成された作品でした。
トニー・レオンは耳の聴こえない写真屋を営む4男役でしたが
もちろん若いし、透明感のある知的な男前でほれぼれいたしました。

すっかり盛り上がったところで
テアトル梅田での台湾の候孝賢(ホウ・シャオシャン)監督の旧作
『冬冬(トントン)の夏休み』と『恋恋風塵(レンレンフウジン)』の
デジタルリマスター版上映は行くしかない!と、最終日に駆け込んできました。
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『冬冬の夏休み』は『悲情城市』よりさらに古い84年の作品です。
候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督と言えば必ずあがるこの作品。
お母さんが病気で入院したため、夏休みは母方のおじいちゃんちで過ごすことになった
冬冬(トントン)と妹の婷婷(ティンティン)。
大都会台北からやって来た兄弟にとっては色々な事が珍しかったり楽しかったり、
家族の中でも事件が起こったりの忘れられない一夏の出来事が描かれています。
おじいちゃんちは銅鑼(どうら)という台湾中部の田舎。
これがまた、緑豊かで川が流れ、絵に描いたようなのどかな町。
大きな木にみんなで登ったり、裸で川遊びしたり、絵になるシーン満載で、
医者のおじいちゃんが住んでいる、立派で味のある日本家屋が素敵でした。
おじいちゃんの「こどもの事をずっと見ていられるわけではない。
なんとか社会に送り出してやるのが精一杯」というセリフにホロリときました。
冬冬にはまだピンと来なかったでしょうけど・・・。
過ぎ去った時間が全て愛しく思えるような作品でした。
後で知りましたが、冬冬のお父さん役はエドワード・ヤン監督だったんですね〜。
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『恋恋風塵(レンレンフウジン)』は87年の作品で、
やはり候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の代表作として有名な青春映画です。
舞台は台北と、九份に近い十份。台湾国鉄の「平渓線」の駅で、今は天燈上げで有名です。
台湾に行った時に行くはずだったのですが、台風で断念した平渓線と十份。
オープニングのトンネルを抜け、湿気を含んだ深い緑の中を進むその景色だけで
一気に入り込んでしまいました。鉱山で働く人が多くけして裕福ではないけれど
昔からのご近所付き合いや人情が生きている田舎町。
坂がたくさんあって味のある風景です。
そこで育った、幼なじみのアワンとアフンも他の若者のように台北に働きに出て
お互い愛情を持つようになるのだがアワンの2年間の兵役につく事になり・・・。
若い頃ってね〜、色々あるよね〜という、ちょっと切なくなる青春の物語。
『悲情城市』でもおじいちゃん役だったリー・ティエンルーという役者さんが
アワンのおじいちゃん役で出ていて、どちらもめちゃめちゃいい味出してて最高。

この3作を見るとますます台湾が好きになりますね。
この土地、風景だからこその映画だと思いました。今さらながら、深く感動。
今回大画面で見ることができて良かったです。
候孝賢監督の最新作『黒衣の刺客』も見逃してたのでDVD借りねば。


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by sugisugi26 | 2016-06-18 20:26 | 台湾映画 | Comments(0)