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月光旅社 gekkosugi.exblog.jp

レトロでアジアでシネマな日々


by sugi

サザエさん『よりぬき長谷川町子展』

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JR京都駅すぐの伊勢丹に入ってる美術館『えき』で開催中の
『よりぬき長谷川町子展』に行ってきました。
終戦の翌年の1946年に新聞連載が開始され、
今年でサザエさん生誕70年だそうで、それを記念しての展覧会です。
ゴールデンウイーク中の割には混雑も思ったほどではなく
じっくりゆっくり展示された直筆原稿を読み込む事が出来ました。
手ぬぐいなど、グッズもたくさんありましたよ。

『サザエさん』以外にも『いじわるばあさん』や『エプロンおばさん』、
それ以前のたくさんの連載漫画や、デビュー作の載った雑誌、
便箋のためのファンシーなイラストや、童話の挿絵、絵本の原画など、
町子さんの幅広い仕事ぶり、才能を堪能できる見応えたっぷりの展示でした。
スケッチブックの富士登山の絵もすごく良かったです。
開催を知って楽しみにしていたのですが、思った以上にはまってしまい、
厚さ約3センチの図録(写真右)も購入し読み込んでしまいました。

『サザエさん』などに描かれている世界は今となっては珍しくなった大家族の生活や
ご近所さんとのやりとりや習慣だったりの昭和の風景なのですが、
レトロや懐かしさだけでは終わらない、町子さんの漫画家としての
素晴らしい才能あってのものなのだなと改めて感じました。
シンプルな線で生み出されたキャラクター達の楽しくて生き生きした動きと表情。
4コマでここまで世界が表現できるんだな〜と。何より面白いし。
これまで見たことなかった、動物のキャラクターなんかもめちゃ可愛いかったです。
そしてカラー原稿の色の美しさ。これは印刷ではなかなか伝わらないので原画ならでは。
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会場では、サザエさん連載当時の朝日新聞夕刊の復刻版も置いてありました。
新聞の連載漫画って毎日だし、アイデアを出すだけでも大変だと思いますが、
実際町子さんも、新聞社の方が家に押しかけて来られながらもギリギリまで
苦悩しながら制作されてたというエピソードや、
漫画の中に新聞休刊日で喜ぶ自身の姿が出てきたりするのを見て
「産みの苦しみ」の辛さを感じました。

昔はよく見ていたテレビの「サザエさん」もすっかり見なくなった今日この頃ですが
原作の魅力を再発見しました。テレビ版は小さい子供も見ている事を意識しているからか
たまに説教くさくなる部分や優等生な部分があったりして、
それが私にはイマイチだったのですが
原作にはそれがなく、もっとキャラクターが人間くさいのがいいですね。
それでも新聞漫画と言う性格上、町子さん的には抑えていた部分もあって
そのストレスを発散したのが『いじわるばあさん』だったということです。
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昨日近所のブックオフで¥108で売られていた『よりぬきサザエさん No5』を発見。
今は無くなった、長谷川3姉妹で経営されていた『姉妹社』から出版された
昔のバージョンのモノ(今は朝日新聞出版から復刊されています)。
『よりぬきサザエさん』は、町子さんがより面白いものをセレクトしたベスト版で
全13冊あります。これは全部欲しいかも。
東京オリンピックネタでは当時の日本人の熱狂ぶりが伝わってきました。

後欲しいと思ってるのが町子さんの自伝的漫画の『サザエさんうちあけ話』と
旅ネタを扱った、町子さん最後の連載『サザエさん 旅あるき』です。
会場にあるかと思ったのですが、文庫版はなかったのでまたの機会に。

サザエさんとは関係ありませんが・・・
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 復刻版の新聞広告に目が釘付け(笑)。
 パンチの効いたキャッチコピーです。

by sugisugi26 | 2016-05-09 11:43 | アート | Comments(0)