鑑賞は2度目。この作品で主演のアン・ソンギは韓国の映画賞「大鐘賞」で
主演男優賞を受賞しています。
こういう一見軽く楽しめる娯楽作品で賞をとる程の演技を見せてくれるのが
さすがです。演技者としての技量が問われるところだと思います。
過去に歌謡賞も受賞し、スターだったロック歌手チェ・ゴン。
その後は数々の事件で世間を騒がし、今やドサ廻りの様な営業で細々と歌っているが
スター気分が抜けず、ちょこちょこ問題を起こしている崖っぷち歌手。
そんなチェ・ゴンのそばにいて、謝ったり走り回ったり、時に衝突しながらも
今もスターとして親身にフォローしている
マネージャーのミンスを演じるのがアン・ソンギ。
いやいやながら地方の放送局でDJをする事になったチェ・ゴンを
明るく前向きに飄々としながら支えるミンスが魅力的!
いいコンビネーションを見せてくれます。
チェ・ゴンを師匠と慕う、地元ロックバンド「イーストリバー」のメンバーはじめ
脇のキャラもしっかりしてて面白かったです。
肩肘張らず気楽に笑って楽しめて、二人の友情に暖かい気持ちになれる1本です。
この映画、『祝祭』の舞台挨拶で来ていたアン・ソンギ自身も
観客と一緒に鑑賞するという気安さ。貴重な体験でした。
いっぱいみんなが笑うのを聞いて喜んでくれたでしょうか。
終映後はそのまま客席から拍手の中舞台に上がられて、
興奮冷めやらぬままにトークショーに突入しました。
撮影もOKだったのですが、デジカメを忘れ、スマホでアップを撮ったら
光の加減で顔が飛んでしまったので、遠目の写真ですいません。
向かって右がアン・ソンギ。
インタビューは韓流イベントやラジオ番組でおなじみの古家さん。
なので安心して聞いていられるインタビューでした。
今年活動60周年とのことでこれまでの活動に関する幅広い内容の話が聞け、
約1時間強、みっちり楽しめました。
『ラジオスター』は韓国でも何度かテレビ放映されているのですが
そのたびに評判がいい作品だそうです。
ぐっとくるラストシーンは、アン・ソンギ自身が監督の案に納得できず
何かいいものがないかと思っていた時に、現場で思わずとった行動が、
現場の全員一致で採用されたとの貴重な裏話が聞けました。
その他、以前日本の小栗康平監督の『眠る男』に出た時の話や、
アン・ソンギの活動の歴史がそのまま韓国映画の歴史と重なる部分もあり、
その変遷や、キム・ギドクとの新作の話などが出て、
最後に会場からアン・ソンギへの質問で締めることに。
古家さんが「盛り上がる質問をお願いします」とのことで
年配の女性が質問をしたのですが、いきなり「私を覚えていますか?」と(笑)。
以前京都のイベント時にエレベーターで一緒になり、その頃深刻で重い作品ばかりに
出られていたので「もっと軽くて楽しい作品に出てください」と言ったら
その後にチェ・ジウさんとのラブストーリーに出られて、
あれは私が言ったからではないですか?とのことで、
なかなかの思い込み質問にアン・ソンギも笑顔で、
古家さんも「裏切らない質問ありがとうございます」と会場も大ウケでした。
答えとしては、「そうかもしれない」と言いつつ、
その頃重い作品に多く出ていたのは、それまではその様なメッセージ性の強い映画を
韓国では作ることができなかったので、その様な作品が求められていたからとのこと。
自由に物が言えない時代があったことを実感する言葉が印象に残りました。
今は多様な作品が作れる時代になりましたからね。
柔らかな物腰、丁寧でソフトな語り口がとても心地よかったです。
ずい分前、私も京都の映画祭のトークショーで1度生アン・ソンギを見ていますが
それほど年を取られた印象がなく、若々しかったです。
帰り際にそばを通った人が「お得感すごい」と言っていましたがホントに。
相変わらずの太っ腹イベントで大満足でした。来年も期待しています!
会場には平昌オリンピックの可愛いキャラも来てましたヨ。