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月光旅社 gekkosugi.exblog.jp

レトロでアジアでシネマな日々


by sugi

大阪韓国映画祭『アン・ソンギ特集』行ってきました!

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気持ちがざわざわする12月に入りましたねー。
あっという間に日がたってしまい遅ればせながらですが・・・
先日予告していました、韓国文化院主催の『韓国映画祭』に行ってきました。
会場はいつもの大阪梅田グランフロントのナレッジシアター。
私が参加したのは11月26日(日曜日)のアン・ソンギ特集です。
前日も3本の映画の上映があって、『家族って?』と『国家代表!?』を
見たかったのですが都合が合わず・・・。

上映後にアン・ソンギトークショーがあるということで、
『ラジオスター』は抽選に外れた方もおられたとか。ラッキーでした。
開場時間ギリギリに現地に着きましたが、人いっぱいで熱気感じるロビー。

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この日は午前に1本目『殺戮にいたる山岳』の上映がありましたが
私は2本目から参加。
ずっと見たかった96年の『祝祭』です。
アン・ソンギ演じる作家ジュンソプの母親が亡くなりそうだということで
家族で田舎の村にある実家に戻ることになり、3日間の葬儀からその終わりまでを追いながら
そこに関わる家族・親戚・村人・仕事仲間などの愛憎、本音と建前、表と裏、
人間の色んな感情や、出来事が一人の老女の死をきっかけに、
怒涛のように動き出し、作家の周辺を祭の様に騒がせる様子を描く作品。
韓国の地方の伝統的な葬儀の様子が見られるのも興味深かったです。

痴呆症で散々周りの人間に世話になった母が亡くなった直後の
やれやれという空気が流れ、家族の本音が見えるシーンから、
葬儀への儀式が進む中で一転「なぜ私を置いて〜」などと
泣き叫びだす家族の様子をを見ていると、
これも儀式の様なモノなんだなと感じました。

亡くなった母が静かに眠る周りで、昔その母が面倒を見ていた長男の外で作った
娘がけばけばしい姿で戻って来て一波乱あったり、
作品に母の事を描き、母思いで知られているジュンソプも見えないところでは
その姪に不義理をしていたり、仕事仲間と不倫をしていたりといった黒い部分があったり。
まあとにかく色んな事が起き、この世で生きるという事はなんてややこしく
面倒くさい事が多いのだろうと思ってしまうのですが、
そんな中でもささやかな喜びや楽しみ、美しい物があるのが人生であり、
「生きる」という事で、その終わりを飾る葬儀はまさに「祝祭」だという
深みを感じる作品でした。笑えるシーンもあり、決して重い作品でないのも良かったです。

終映後、今回トークショーに外れた人も多かったとの事で
ご本人の意向で急遽舞台挨拶が行われました。
MCの古家正亨(ふるやまさゆき)さんも登場し、
短時間ながら思いもよらぬアン・ソンギ登場に大盛り上がりでした。
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そして鑑賞2本目は、大好きな作品『ラジオ・スター』。2006年の作品です。
鑑賞は2度目。この作品で主演のアン・ソンギは韓国の映画賞「大鐘賞」で
主演男優賞を受賞しています。
こういう一見軽く楽しめる娯楽作品で賞をとる程の演技を見せてくれるのが
さすがです。演技者としての技量が問われるところだと思います。

過去に歌謡賞も受賞し、スターだったロック歌手チェ・ゴン。
その後は数々の事件で世間を騒がし、今やドサ廻りの様な営業で細々と歌っているが
スター気分が抜けず、ちょこちょこ問題を起こしている崖っぷち歌手。
そんなチェ・ゴンのそばにいて、謝ったり走り回ったり、時に衝突しながらも
今もスターとして親身にフォローしている
マネージャーのミンスを演じるのがアン・ソンギ。
いやいやながら地方の放送局でDJをする事になったチェ・ゴンを
明るく前向きに飄々としながら支えるミンスが魅力的!
いいコンビネーションを見せてくれます。

チェ・ゴンを師匠と慕う、地元ロックバンド「イーストリバー」のメンバーはじめ
脇のキャラもしっかりしてて面白かったです。
肩肘張らず気楽に笑って楽しめて、二人の友情に暖かい気持ちになれる1本です。

この映画、『祝祭』の舞台挨拶で来ていたアン・ソンギ自身も
観客と一緒に鑑賞するという気安さ。貴重な体験でした。
いっぱいみんなが笑うのを聞いて喜んでくれたでしょうか。
終映後はそのまま客席から拍手の中舞台に上がられて、
興奮冷めやらぬままにトークショーに突入しました。
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撮影もOKだったのですが、デジカメを忘れ、スマホでアップを撮ったら
光の加減で顔が飛んでしまったので、遠目の写真ですいません。
向かって右がアン・ソンギ。
インタビューは韓流イベントやラジオ番組でおなじみの古家さん。
なので安心して聞いていられるインタビューでした。

今年活動60周年とのことでこれまでの活動に関する幅広い内容の話が聞け、
約1時間強、みっちり楽しめました。
『ラジオスター』は韓国でも何度かテレビ放映されているのですが
そのたびに評判がいい作品だそうです。
ぐっとくるラストシーンは、アン・ソンギ自身が監督の案に納得できず
何かいいものがないかと思っていた時に、現場で思わずとった行動が、
現場の全員一致で採用されたとの貴重な裏話が聞けました。
その他、以前日本の小栗康平監督の『眠る男』に出た時の話や、
アン・ソンギの活動の歴史がそのまま韓国映画の歴史と重なる部分もあり、
その変遷や、キム・ギドクとの新作の話などが出て、
最後に会場からアン・ソンギへの質問で締めることに。

古家さんが「盛り上がる質問をお願いします」とのことで
年配の女性が質問をしたのですが、いきなり「私を覚えていますか?」と(笑)。
以前京都のイベント時にエレベーターで一緒になり、その頃深刻で重い作品ばかりに
出られていたので「もっと軽くて楽しい作品に出てください」と言ったら
その後にチェ・ジウさんとのラブストーリーに出られて、
あれは私が言ったからではないですか?とのことで、
なかなかの思い込み質問にアン・ソンギも笑顔で、
古家さんも「裏切らない質問ありがとうございます」と会場も大ウケでした。

答えとしては、「そうかもしれない」と言いつつ、
その頃重い作品に多く出ていたのは、それまではその様なメッセージ性の強い映画を
韓国では作ることができなかったので、その様な作品が求められていたからとのこと。
自由に物が言えない時代があったことを実感する言葉が印象に残りました。
今は多様な作品が作れる時代になりましたからね。
柔らかな物腰、丁寧でソフトな語り口がとても心地よかったです。
ずい分前、私も京都の映画祭のトークショーで1度生アン・ソンギを見ていますが
それほど年を取られた印象がなく、若々しかったです。

帰り際にそばを通った人が「お得感すごい」と言っていましたがホントに。
相変わらずの太っ腹イベントで大満足でした。来年も期待しています!
会場には平昌オリンピックの可愛いキャラも来てましたヨ。
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by sugisugi26 | 2017-12-03 23:47 | 韓国映画 | Comments(0)