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レトロでアジアでシネマな日々


by sugi
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『29歳問題』

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久しぶりの香港映画です。
昨年の大阪アジアン映画祭で上映され、迷っている内に見逃したのですが、
評判も良く、観客賞を受賞したとのことで、後悔していた作品です。
香港でもヒットして、待望の一般公開です。

29歳なんかとっくに過ぎ去った私ですが、大丈夫でした。
歳にも性別にも関係なく、幅広い年齢層に響く内容でした。
今の自分の生き方に疑問を持ったり、この先どうするのかな〜私・・・
なんて漠然と思った事がある人なら何か感じるところがある作品だと思います。

仕事も上司に認められて昇進が決まり、長年付き合っている彼氏もいて
傍目には順調な生活を送っているように見えるキャリアウーマンのクリスティ。
それでもあと少しで「30歳」と言う節目を前に、色々揺れ動く日々。
そんな不安定な心の隙を狙ったかのように、認知症の父の事や仕事のプレッシャー
彼氏とのすれ違いに加え、大家の勝手で部屋も出なければいけなくなったりでトラブル続出。

とりあえずの仮住まいで、パリへ旅行中の大家の姪の部屋にしばらく住む事になるが、
その部屋の持ち主は偶然、同じ誕生日で同じ年齢のティンロと言う女性。
自分宛のビデオメッセージや、自伝の様に書かれたティンロの日記を読み、
自分の人生とは違うティンロの人生・考え方から自分の人生について振り返り
また一歩を踏み出す勇気をもらう。

実はテインロも人生の岐路に立っており、ゆっくり前に進み出す2人の女性の姿に
爽やかで前向きな気持ちになれる作品でした。
色んな生き方ができるこの時代、突っ走ってばかりではなく、
時に立ち止まってこれまでの自分を振り返って見たり、
見逃していた小さな幸運や幸せを噛みしめる事も必要だと思います。
いい事も悪い事も、色んな出来事をいかにうまく栄養にして生きていけるかが大事・・・
と、とっくに29歳を過ぎた私はつくづく感じる今日このごろです。

クリスティとティンロがどちらもそれぞれ可愛くて魅力的で、
すっかり引き込まれました。
キーレン・パン監督は長くこの作品を一人芝居の舞台で演じてきて
今回初の映画監督で、途中舞台的な演出でちょっと混乱する部分もありましたが
2人の気持ちや人間関係が丁寧に描かれていて心に響きました。
特にクリスティがお父さんとの事に思いを馳せるシーンは秀逸。
エッグタルトを食べていたお店が気になりましたが、香港仔(アバディーン)にある
「銀都冰室」と言うお店で撮影されたそうです。

ティンロが夢中になっていたビヨンドやレスリー・チャン、
クリスティのウォン・カーウァイのポスターやレオン・ライのエピソードなど、
80年代〜90年代の若者たちが夢中になっていた芸能ネタもうまく絡ませてあり、
その頃を知る人たちは一気にその時代に思いを馳せる事でしょうね。
香港が恋しくなる1本でした。


by sugisugi26 | 2018-06-17 11:39 | 香港映画 | Comments(0)