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月光旅社 gekkosugi.exblog.jp

レトロでアジアでシネマな日々


by sugi

グラフィックデザイナー『土方重巳』展

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この方のお名前、全然知りませんでした。この展示の事を知るまでは。
でも、知れば知るほど、「へ〜〜〜!」って思うものばかり。
例えば、佐藤製薬のオレンジ色のゾウのキャラ「サトちゃん」のデザインや、
NHKの有名人形劇『ブーフーウー』のキャラや背景・小物のデザイン、
朝日ビールや、三ツ矢サイダーのキャラデザインに、
どこかで目にした事のある、人形を撮影して絵本として構成した、トッパンの人形絵本など。

多摩帝国美術学校(現多摩美)を卒業後、
東宝で映画のポスターを手がけられ、
フリーになってからは舞台のポスターなどを手がけつつ、
子供向けの絵本やテレビ番組関係のデザイン、企業の宣伝キャラクターなどで
活躍されたデザイナーさんです。
グラフィックデザイナー『土方重巳』展_a0106409_22025074.jpg
東宝時代に始まる、イラストや手書き文字を多用した
ポスターの数々も魅力的でしたが、
断然、子供向けのイラストや、キャラクターのデザインでこそ、
のびのびと才能と個性を発揮されたんだな感じました。
どれも可愛らしくて、丁寧に描かれていて、魅力的な作品がいっぱいでした。

3匹の子ブタが活躍する『ブーフーウー』は有名ですが
番組はほとんど見た事はありません。
でも当時としては贅沢な作りで、画期的な番組だったようですね。
私はその後番組の『とんでけブッチー』と言う番組をよく見ていた記憶があり
アルミのお弁当箱を持っていたのですが(世代がバレますね・・・)、
それも土方さんが手がけられた番組だったようです。
トッパンの人形絵本、展示を見て欲しくなったのですが
ヤフオクでは¥4,000くらいしていました。
人形や装飾品、背景などとても凝っていて、
土方さんのイラストだけでも十分魅せられるのに、さらに人形作家が立体にして
カメラマンが撮影してと、手間ひまかかった良質な絵本です。
海外でも好評だったそうです。

昭和の、まだモノも技術も十分でなかった時代の
熱いモノ作りの世界を垣間見て、すごく刺激を受けました。
この時代のグラフィックデザイナーって、今より職人的ですから
憧れます。それだけ厳しい世界だったと思いますが。
土方さんは、映画や舞台の知識もあって、物静かで、美しく可愛いものが好きで、
暖かくも妥協のない厳しい目を持った紳士だったのではと
想像しながらの鑑賞でした。
こんな人を知る機会をいただけ、大谷美術館に感謝です。
会期は後少しですが、ご興味ある方はぜひ!



by sugisugi26 | 2018-12-03 23:21 | アート | Comments(0)