月光旅社 gekkosugi.exblog.jp

レトロでアジアでシネマな日々


by sugi
プロフィールを見る
画像一覧

『29歳問題』

a0106409_22181994.jpg
久しぶりの香港映画です。
昨年の大阪アジアン映画祭で上映され、迷っている内に見逃したのですが、
評判も良く、観客賞を受賞したとのことで、後悔していた作品です。
香港でもヒットして、待望の一般公開です。

29歳なんかとっくに過ぎ去った私ですが、大丈夫でした。
歳にも性別にも関係なく、幅広い年齢層に響く内容でした。
今の自分の生き方に疑問を持ったり、この先どうするのかな〜私・・・
なんて漠然と思った事がある人なら何か感じるところがある作品だと思います。

仕事も上司に認められて昇進が決まり、長年付き合っている彼氏もいて
傍目には順調な生活を送っているように見えるキャリアウーマンのクリスティ。
それでもあと少しで「30歳」と言う節目を前に、色々揺れ動く日々。
そんな不安定な心の隙を狙ったかのように、認知症の父の事や仕事のプレッシャー
彼氏とのすれ違いに加え、大家の勝手で部屋も出なければいけなくなったりでトラブル続出。

とりあえずの仮住まいで、パリへ旅行中の大家の姪の部屋にしばらく住む事になるが、
その部屋の持ち主は偶然、同じ誕生日で同じ年齢のティンロと言う女性。
自分宛のビデオメッセージや、自伝の様に書かれたティンロの日記を読み、
自分の人生とは違うティンロの人生・考え方から自分の人生について振り返り
また一歩を踏み出す勇気をもらう。

実はテインロも人生の岐路に立っており、ゆっくり前に進み出す2人の女性の姿に
爽やかで前向きな気持ちになれる作品でした。
色んな生き方ができるこの時代、突っ走ってばかりではなく、
時に立ち止まってこれまでの自分を振り返って見たり、
見逃していた小さな幸運や幸せを噛みしめる事も必要だと思います。
いい事も悪い事も、色んな出来事をいかにうまく栄養にして生きていけるかが大事・・・
と、とっくに29歳を過ぎた私はつくづく感じる今日このごろです。

クリスティとティンロがどちらもそれぞれ可愛くて魅力的で、
すっかり引き込まれました。
キーレン・パン監督は長くこの作品を一人芝居の舞台で演じてきて
今回初の映画監督で、途中舞台的な演出でちょっと混乱する部分もありましたが
2人の気持ちや人間関係が丁寧に描かれていて心に響きました。
特にクリスティがお父さんとの事に思いを馳せるシーンは秀逸。
エッグタルトを食べていたお店が気になりましたが、香港仔(アバディーン)にある
「銀都冰室」と言うお店で撮影されたそうです。

ティンロが夢中になっていたビヨンドやレスリー・チャン、
クリスティのウォン・カーウァイのポスターやレオン・ライのエピソードなど、
80年代〜90年代の若者たちが夢中になっていた芸能ネタもうまく絡ませてあり、
その頃を知る人たちは一気にその時代に思いを馳せる事でしょうね。
香港が恋しくなる1本でした。


[PR]
# by sugisugi26 | 2018-06-17 11:39 | 香港映画 | Comments(0)
a0106409_22180982.jpg
気づけば6月も早中旬。久しぶりのブログUPですが、
今月は見たい映画が目白押し。アジア系も充実しています。

見てから少し時間がたちましたが、楽しみにしていた大好きなソルさん、
ソル・ギョング主演の話題作『名もなき野良犬の輪舞』。
このチラシ、かっこいいビジュアルがお気に入りです。
昨年の韓国『大鐘賞』でソルさんは主演男優賞受賞!
まだまだアグレッシブに走り続けていて、素晴らしい!
かたや『青龍映画賞』ではガンちゃん、ソン・ガンホが主演男優賞を受賞していましたし、
この2人、同じ世代でずっと第一線で活躍しているってすごい事ですね。

ソルさん演じる、薬の売人をしていたジェホと、
刑務所で出会った強気な若者ヒョンス。
裏切ったり裏切られたりな世界で、ある事をきっかけに接近する2人。
出所後は組んで大きな事をやろうと約束し、
ジェホは自分のいる組織にジェホを招き入れる。
2人は組織の中で存在感を増していくが、疎ましく見つめる影が見え隠れし、
そんな組織を壊滅させようとする警察も加わり、
それぞれの真実と嘘、裏切りと信頼が2人の心を揺さぶっていく。

韓国らしい黒社会ものではありますが、それだけではない展開で新鮮さもあり
楽しめました。やっぱりか・・・のイタいシーンもありですが。
全編緊張感で息をのみながら見てました。
ヒョンスを演じていたのは、ガンちゃんの『弁護人』で
思想犯で捕まる若者役で出ていたイム・シワン。
キレイな顔・・・だけでなく、複雑な役うまかったです。
ソルさんはさすがの安定感で、悲しい影のある、
こんな風にしか生きられない破滅的な男を印象的に演じていました。

惜しいのは、もう一押し、人間関係を深く描いて欲しかったかなという部分。
ボスの甥との絆や過去などももっと描かれていれば、
ジェホの人間性にもう少し厚みが出て、ラストがも〜っと胸に響いたかも。
描き方のクールさや、タイトル画面とエンディングを対比させたりといった
スタイリッシュな映像などはカッコ良かったです。
しかし結局、1番エグいのは・・・と言う、やるせない思い。

[PR]
# by sugisugi26 | 2018-06-15 23:23 | 韓国映画 | Comments(0)
a0106409_10575445.jpg
この時期恒例の展示を見に行ってきました。
大阪の阿波座にある化粧品メーカー、株式会社クラブコスメチックスさんの1階
文化資料室で5月31日(木)までの日曜日以外開催中です。
年に1度の開催ですが、年々内容が充実しているように感じます。
前回から結構しっかりした冊子や、案内ハガキ持参の人には
スタッフの方手作り(だと思いますが)のグッズなどもいただける様になりました。
今回は一筆箋。デザイン色々選べました。

今回は明治から昭和初期にかけて、
クラブコスメチックスの前身の「中山太陽堂」が
化粧品を文化として発信してきた様子を、商品開発の過程や宣伝・広告、
デザインなどを通して、当時の女性達の社会進出とともに
化粧品がどの様に浸透し、心をつかみ、普及していったかが分かる展示となっています。
当時流行りの観劇とからめて宣伝したり、雑誌で具体的な化粧法を説明したり、
ポスターやノベルティーなどありとあらゆる当時としては最新の広告戦略をとって
積極的に売り込んでいたことが良く分かり、当時の女性達がいかにこれらに魅了され、
心ときめかせたか、想像するとワクワクします。
あらゆる物が溢れるこの時代に生きていると新鮮に感じることも多く
今回の展示もとても興味深く面白かったです。

そしてやっぱり素敵な当時のパッケージデザイン。
今の様に手軽にPCで作れた時代ではありませんが
根本的なデザインそのものは、しっかりと丁寧に練られた物はいつの時代にも
訴える物があり、美しいと感じました。当時のデザイナーさん達の仕事にうっとり。
自分の日々の仕事に反省すること多しです。
a0106409_10580323.jpg


[PR]
# by sugisugi26 | 2018-05-19 11:25 | イベント | Comments(0)
a0106409_22370864.jpg
大阪市立美術館で開催中の『江戸の戯画』展に行ってきました。
6月までやってるからとのんびりしてたら、1番見たい歌川国芳の『金魚づくし』が
全て見られるのは前半の5/13までとの事。
もらってたチラシにも書いてあったのに、友人が教えてくれるまで気づかず、
危ないとこでした。Nさん謝謝。

以前、京都であった鳥獣戯画展がものすごい混雑で諦めたので
今回も心配していましたが、行列もなく、中も想定内の混雑で、
じっくり楽しむ事ができました。
ほのぼの笑える絵や動物の絵も多く、めちゃめちゃ癒されました。
時代を超えての害のない下ネタも微笑ましかったです。

特に良かったのは大阪を中心に活躍したという耳鳥斎の
さらりとしたタッチと独特の発想で笑いを誘う『地獄図巻』や
私が有名な浮世絵より凄さを感じる、葛飾北斎の『北斎漫画』。
あらゆるものを描きまくるその描画力と発想力・表現力に圧倒されます。

そしてお目当の歌川国芳の『金魚づくし』。
金魚達が宴会したり、渡し舟に乗ったり、百物語をしたり、家族でお出かけしたり、可愛すぎ!
そして毎度金魚に混じってるかえるになりかけのおたまじゃくしが気になります。
豊かなイマジネーションの世界に魅了され、ほっこりしました。

今回、多くの作品が、ベルギー王立美術史博物館から出品されており、
意外な場所で江戸時代の作品が保存されているんだなと思いました。
a0106409_22373216.jpg



[PR]
# by sugisugi26 | 2018-05-17 23:08 | アート | Comments(0)

『タクシー運転手』

a0106409_09583440.jpg
楽しみにしていたガンちゃん、ソン・ガンホの新作『タクシー運転手』を見てきました。
韓国では長年触れるのをタブーとされてきたという「光州事件」がテーマになっています。
「光州事件」と言えば、私はソル・ギョング主演の『ペパーミントキャンディー』で
初めて認識したのですが、軍が武力を持たない自国の市民に発砲し多数の死傷者を出したという
悲劇的な出来事で、考えるだけで気が重くなる事件なのですが、
その当時の光州と市民の様子、韓国国内でも情報が制限されていた中で
真実を伝えようとしたドイツ人ジャーナリストと彼を光州まで運んだタクシー運転手の
実話を元にした作品です。

悲惨な事件と、ポスターにあるような笑顔のガンちゃんがどの様に関わっていくのか
とても興味がありました。
重いテーマを扱いながらも、最後に問われるのは個人の優しさや正義感・使命感であり、
微力であっても少しの事が何かを変える可能性があるんだと
思わせてくれるところに希望が持てる、見応えのある作品でした。
社会問題を扱いながらもユーモア溢れる人間ドラマもからめて
娯楽映画として成立させているのがうまいところです。

日々のデモや、デモに関わる学生達に、どちらかと言えば反感を持ち、
日々食べていくのに必死で、ある意味自分本位でこずるい所もある、
ガンちゃん演じるタクシー運転手のマンソプでしたが、
高額の報酬目当てでドイツ人ジャーナリストを光州まで乗せたことで、
自国の現状を目の当たりにし、自分の周りの人々・家族を守る為にやるべき事に気づきます。
そんな心境の変化と人間力の大切さを、『弁護人』でも感動しましたが、
丁寧な演技で説得力たっぷりに見せてくれます。さすが!

名バイプレーヤーの(友人とは「アナゴくん」と呼んでいる)ユ・ヘジンもいい味出しまくりで、
ガンちゃんとのコンビネーションも良かったです。
意外でしたが初の共演だったんですね。
本当に素朴で人情味があって優しい、そんな普通の一般市民に
こんな事をするなんて信じられないと言う、マンソプの困惑が痛いほど伝わってきました。
きっと実在の運転手も、普通の人間として、当然の事をしただけであって
特別なすごい事をしたのではないという思いもあって
表に出て来なかったのではないかと感じました。

1980年と言えば、ついこないだです。
今は一見日本と変わらない様に見える韓国ですが
この様な歴史を見ると、はっきりとした違いがあるという事を認識します。

[PR]
# by sugisugi26 | 2018-05-13 11:41 | 韓国映画 | Comments(0)